「ツレがうつになりまして。」細川貂々

 ハードな仕事を送っていたサラリーマンの夫が鬱になり自宅で療養するといった話。妻によるマンガの間に夫のエッセイが挿入されるといったスタイルです。
 理由の無い不安に襲われたりして調子が悪いときの描写は、読んでいて切なくなります。また、
他人から言われたくない言葉、言われると落ち込む言葉、そして、音楽が聴けなかったり、本や新聞などの文字が読めない状態、つまり何にも手につかない状態というのもよく分かります。確かにそんな時は、テレビの音、特にワイドショーやバラエティがうるさく感じてしまうものです。

 よくあるタイプのエッセイで新鮮味はあまりありませんが、鬱病を題材にしつつも全体的にソフトな感じに仕上げているので読みやすいと思います。ただあまり深刻にならないようにする為なのでしょうが、それぞれエピソードが細切れで、物足りなさを感じる部分があるのも確かです。もっと深い部分にも期待していまうのです。とりあえず、自分がナチュラルに鬱病チックな精神状態だということは、再認識させられました。