「S60チルドレン」(4) 川畑聡一郎

 モーニング新マグナム増刊で始まったこのマンガもこの巻で最終巻です。「サトラレ」も終わってしまったし、新マグナム増刊時代の連載もこれで全部終了しちゃったのかな。あの雑誌の雰囲気が好きだったのでちょっと残念です。
 このマンガって私の中ではあまり気軽に読むタイプのマンガではないです。今までも発売日に買ってもすぐに読まずに、自分の中での頃合いを見計らってしばらくしてから読むってことが多かったです。理由はやはりこのマンガの持っている、痛さの為だと思います。
 小学生が主人公とは言え、このマンガが描くのは無邪気な小学生時代というよりは、子供世界におけるクラス内での人間関係とその権力関係をちょっとひねくれた主人公の視点で描き出すというものです。読んでいると、年代的な共通点も相まって自分の小学生時代を思い出し、その頃の自分の思い出と対比してしまいます。自分の小学生時代はこのマンガの主人公みたいに冷静に人間関係を分析できるような頭はなかったですね。同級生の中には大人びたタイプもいた気がしますが、私はもっと適当に生きてたバカだった気がします。
 私が自分の立ち位置みたいなモノを意識して人間関係を分析できるような、ある意味でオトナな思考をすることができるのようになったのって、何歳ぐらいなのかな。中学生時代もなんとなく友達付き合いをしていただけで、人間関係を分析するようなことはしてなかった記憶があります。そんなわけで、かなり遅い気もしますが、生活する上で他人のタイプの違いを認識して、人間関係を円滑に行う為のキャラという概念を意識しだしたのって高校ぐらいかもしれないです。だから、人との付き合い方や思考回路が未熟だった高校生以前の思い出を今思い出すと身悶えしてしまいますね。
 そんなこともあって、読んでいるとジタバタしたくなるような思い出ばかり思い出してしまい、単に懐かしいというよりは、辛いけどなんかそれが気持ちいいいという微妙な気分になるマンガです。それにしても光子は小学生とは思えないぐらい色気がありますね。あの結婚式ゴッコのシーンはぞくっと来ました。いいキャラです。
 作者の川畑聡一郎もまだ荒削りで洗練されていないところもありますが、ありきたりの普通のマンガではなく独特の雰囲気を持ったマンガを書くことが出来る表現力のある漫画家だと思うので次回作にも期待しています。ぜひどこかで書いてくれる事を祈ってます。