「IKKI 1月号」

 巻頭カラーで新連載は、オノ・ナツメさらい屋 五葉」。オノ・ナツメIKKIで連載とは凄いですね。しかも巻頭カラーとは期待されているのでしょう。江戸時代を舞台に用心棒の仕事を探す浪人が主人公の話です。初回は、運よく用心棒先が決まったが・・・・・・という感じでスタートです。殺陣のシーンがいまいち迫力不足なのは仕方が無いですね。作者は、時代劇みたいなマンガをやりたいということですが、どのような方向に展開していくのかはまだわかりません。次回を楽しみにしています。現在のところ、老人やメガネ、給仕などのアイテムは出てきていません。
 もう一つの新連載が岩岡ヒサエ土星マンション」。この作者は、今まで連載でもオムニバス的なものが多かったのですが、今回は続きモノです。地球の周りに土星の輪のような建造物をつくり、人類はそのマンションの中で暮らしているという世界の話です。岩岡ヒサエのふわふわした絵でSFというか宇宙モノをやるというの少し意外でしたが、なかなか良い感じの世界観を構築していました。好きな漫画家なので、こちらも次回が楽しみです。前作の「花ボーロ」の単行本は11月30日発売です。あと12月に宙出版から「ゆめの底」という単行本が出るそうです。チェック漏れでしたので、購入予定リストに加えておきました。予定では12月15日発売のようです。
 他にも先月号から始まった桐野夏生/イシデ電「リアルワールド」が予想していたよりも読めます。私は、この桐野夏生臭さが嫌い嫌いと言いつつも気になってしまうようです。
 読み切りはこれがデビュー作の松本藍「ファミリー・アフェア」。数年間会っていなかった姉から突然、娘を1日預かって欲しいと頼まれた主人公の話。ラストを含めてこれは良かったです。ぬるいマンガが嫌いとか言っていても、こういう話は好きなようです。家族モノに弱いのかな。
 このマンガを読んでいて、結構前にアフタヌーンの読み切りで、同じようにコミュニケーションが苦手な(自閉症だったかも)の女の子を預かる話を思い出しました。あれも凄く好きでした。確かお爺さんからもらったゴーグルを付けていた気がします。あのマンガの作者はだれでしたか。切り抜いて置けばよかったです。・・・・・・っと思ってOHPで『アフタヌーン ゴーグル』のキーワードで検索してみたら見つかりました。しばたさん感謝です。
 アフタヌーン2003年9月号掲載でその名も「ゴーグル」。そして作者は豊田徹也。あの「undercurrent」の作者ですよ。驚きました。確かに言われてみれば頭の中で描いていた通りの絵と作風です。ああ、そうか、そうだったんだ。すぐに買ったままシュリンクも取ってなかった単行本を見たのですが、残念ながらこれには収録されていませんでした。今月号のアフタヌーンの巻末にある作者のコメントによるとまだこれからもマンガを描くかもしれないという雰囲気を漂わせていたので、是非ともこれから原稿を溜めてデビュー作を含めて単行本にまとめて欲しいです。切に希望いたします。
 今月号は林田球ドロヘドロ」が休載で寂しかったのですが、青山景「SWEET」や笠辺哲「フライングガール」、吉野朔美「period」、松田洋子「まほおつかいミミッチ」のような単行本を買うかどうか微妙なラインで結局買っていない作品などがコンスタントに楽しめるので、微妙な感は否めませんが買う価値がある雑誌だと思います。それに単行本を買っている原一雄のらみみ」と松本次郎「フリージア」もあるので、よく考えたら十分もとは取れてると思います。