「ゆめの底」岩岡ヒサエ

 人の夢ができる国にあるコンビニに迷い込んだ女性の話。このコンビニは、この世とあの世の間にあり、この世に思いを残したまま旅立とうとしているものが、その思いを残すために立ち寄る場所です。主人公も孤独と不安を抱え、自分の感情を上手く表現できないとままこのコンビニにやってきます。
 この前発売された「花ボーロ」では現代社会を舞台にしていました。しかし、今作は同人誌で発表された作品に書下ろしを加えて構成されていて、「しろいくも」に収録されていた作品のように、ファンタジー要素が強いものになっています。個人的には、「花ボーロ」のような作品の方が好みですが、こちらの優しく暖かい絵で表現される世界も心地よいものです。この作者の描く、照れている顔が好きです。店長のキャラもいいです。おまけに収録されている主人公と店長の掛け合いは読んでいて幸せな気分になれます。