「長い長いさんぽ」 須藤真澄

 16年連れ添ったネコの『ゆず』との思い出と別れを描いたマンガ。一周忌である1月16日にあわせて発売されました。全118ページと短いけれど、読み応えのある単行本です。「星の王子さま」をイメージしたゆずのしおりが付いていました。
 丁度、コミックビームでゆずとの別れの話が掲載されていた頃に、私も飼っていたペットと別れたので複雑な気持ちで読んでいた思い出があります。そうじゃなくても、このマンガは作者のゆずへの想いが痛いほど伝わってきます。特に、ゆずが死んでしまったことを知り、その最期の様子を聞くシーンは、もう読むのが辛いぐらい切なくなります。
 作者のゆずへの愛情の注ぎ方は、親バカとも言えるほどです。しかし、親にとって一番悲しい事は、自分よりも先に子供が死んでその最後を看取らなくてはいけない状況であるともいいます。ペットというものは、往々にしてそういう別れ方をしなくてはいけない存在なのです。結局、余計に別れるときが辛くなるとしても、一緒にいるときに最大限の愛情を注いでやることしかないのだと思います。