「僕の小規模な失敗」福満しげゆき

 作者の高校時代からの人生を振り返った自伝的マンガ。小規模な失敗といいつつ、小規模の積み重ねでいつの間にやら自分の理想から大きく外れていったという感じでしょうか。いろいろあるけれど最終的に静かに終わるのが印象的です。
 作者は、内気で要領よくできないことが多いのですが、変なところで積極的だったりもします。ホームレスと談笑していたり、急にあまり親しくない友達を誘って家を出て暮らしたり、柔道部を作ったり、ボクシングジムに通ったりと、私の周りにいない不思議な人です。外に出るのが苦痛だという描写も、ほとんどどありませんし引き篭もりの要素はかなり少ないのでしょう。オタク描写もあまりありません。
 すぐに悩んだり、何かをした後で後悔したり、人と上手く付き合えないけれど人恋しくなったりするような思考回路は、私も似たところがあるのですが、やっぱり根本的な部分で違う部分が多いです。たぶん身近にいても仲良くなることはない気がします。交通事故にあっている時でも、ボンネットに乗ったことを恥ずかしがっている所なんかには、共感を覚えますが。
 そういえば、作中に中島らもに憧れて酒を飲むシーンがあるのですが、似たような事を私もやったことがあります。どの本かは忘れましたが、スクワットをしながら飲むと安い酒でも効率よく酔えるという文章を読んで、私も夜中に一生懸命スクワットをしながら酒を飲んでました。確かに効率よく酔えた気がしますが、完全にバカです。恥ずかしいです。
 あと、この人の描く女の子がなんか可愛くて好きです。美人ばかり描くというわけではないのですが、魅力を感じます。雑誌では結構読んでいる気がするのですが、他の単行本を買っていないので、また買いたいです。