「EVIL HEART 気編」 武富智

EVIL HEART―氣編― (ヤングジャンプコミックス)

EVIL HEART―氣編― (ヤングジャンプコミックス)

 家族関係で悩み問題を起こしていた主人公・正木梅夫が合気道と出会い少しずつ変わっていく話。この巻では、師匠ダニエルの故郷カナダを舞台にし、その過去がテーマです。
 明らかに長編向きだと思われるストーリーだったので、雑誌での打ち切りは非常に残念だったのですが、無事に完全描き下ろしの単行本として復活してくれたことは、非常に喜ばしいです。
 楽しそうに合気道に取り組む梅の姿は、見ていた幸せな感じがするのですが何か不安な予感を感じさせる危うさがあります。この不安定さこそが作品の根底に流れるものであり、魅力だと思います。平和な展開から、一転して加速する不幸の連鎖。自業自得なのか?多少の説教臭さは気になりますが、流石に上手くまとめてくれます。
 良作だと思います。満足です。次巻で完結になるようなので、この巻で登場した行方不明だった父親の存在なども含めてどのようにまとめるのか期待しつつ、その発売を待ってます。