「REAL」(5) 井上雄彦

 こういう作品は感想が書きづらいです。メジャーで売れているということもあるし、内容が単なるエンターテインメントではないということもあると思います。面白かったという一言で終わらせたい気もします。
 車椅子バスケットボールというスポーツを中心に障害というものに関わる人たちを描いたマンガです。

 この作品が本当の意味でリアルなのかは、現場を知らないので何ともいえないです。障害者の苦労も障害を抱えていることの悩みも当人にしか分からないものでしょうし、個人個人によっても様々だと思います。
 ただ、自分の境遇を呪い、他者を羨む気持ちなんかは私もよく分かります。最近はその気持ちも小さくなってきたような気もしますが、車椅子にのったまま学校に復学できるのかどうかなんてエピソードを読むと、私も昔の学校に対する気持ちを思い出してしまい胸に響く痛みを感じました。
 障害とともに描かれている、事故の被害者と加害者という関係、母と子の関係、人の仕事上の建て前と本音なんかも簡単に答えの出ない問題です。
 流石に700万部というのは伊達じゃないです。凄いマンガなのは確かです。
 ちなみに、この巻の続きが、11月24日発売のヤングジャンプで読めるそうです。最近、このように単行本の終りと雑誌での連載とを繋げる方式が結構ありますね。雑誌の売り方としては良い方法だと思いますが、週刊連載ではなかなか難しいかもしれません。