「アニキ」(1) たくまる圭

 両親が離婚と共に行方不明になったことで、遠い親戚である工務店に引き取られることになった小学生の女の子であるゆずが主人公。アニキと呼ばれる工務店の店主や職人たちとの生活が描かれています。表紙のデザインは凝っていて結構好きです。
 不器用でなかなか自分の気持ちを素直に表現できない大人しいタイプであるゆずの心を丁寧に汲み取って、表現しようとしている姿勢には好感が持てます。ゆずとアニキの絆もいいです。ただ、ゆずが会えない両親を思い出したり、自分が邪魔者なのではないかと悩む姿は、読んでいて切なくなります。過剰に周りを気遣う子供の姿は凶悪なものだと痛感しました。素直に好きなマンガだといえないのは、読んでいて悲しくなるマンガだからかもしれません。何かが物足りないというよりは、漠然とした苦手意識があります。