「コミックビーム 6月号」

 福島聡機動旅団八福神」:クール。無機質。乾いた感じです。感情が欠落したような、喪失感すらあります。この感じが好きです。
 唐沢なをき「まんが極道」:流石に良いネタを転がしています。ファンとしても何ともいえない微妙な問題です。ラストのカオスぷりも好きです。
 入江亜季群青学舎」:今回のシリーズは、なかなかストレートな感じです。読んでいて恥ずかしくなるような展開も、陳腐にならずに上手く描いていると思います。この恥ずかしさがいいです。
 鈴木みそ「銭」:骨董の値段。面白い世界です。詳しくはよく分からない世界でも、楽しませるのが鈴木みその力だと思います。さすがベテランです。物語の基本として欲自体の存在を肯定している所がこのマンガの一番のポイントだと思います。
 桜玉吉御緩漫玉日記」:最近の作風に対しては、いまいちピンとこなかったのですが、今回はエロいというかフェチっぽくて良かったです。私はどうも子供のエピソードには弱いようです。
 しりあがり寿ゲロゲロプースカ」:新連載。マンションの一室でテレビと共に孤独に生きている男の子の話。ミトッタマン登場。これからの展開が全く想像できません。でも個人的には、しりあがり寿のマンガの中でこの手のマンガが一番好きです。シュールな設定でありつつも切なさが漂っています。
 タイム涼介「あしたの弱音」:最終回。オーソドックスな終わり方でしたが、後半の雰囲気が非常に良かったです。本気なのかギャグなのかよく分からない臭さに、どちらの意味でも痺れました。難しいのかもしれませんが、単行本の発売を切に願っています。かなりの良作でした。

 以下は、読み切り作品です。

 安永知澄上野顕太郎「ちぬちぬとふる」:この師弟コンビの登場は凄いです。上野顕太郎の作風と安永知澄の絵が相まって、今までにないようなインパクトを受けました。これはギャグなのでしょうか。大舞台を用意してハッタリをかませる大層な展開はウエケンらしいです。もう既に現実的ではないとか、そんな下らない粗探しはどうでもいいです。単純に凄かったです。内容については、何と書いてもネタバレになってしまいそうですが、金持ちの老人と子供たちが登場する話です。
 山本健太郎「空の下の人々」:突然、地球の重力が強くなり人々が無気力になった世界。冷めた主人公の男子高校生と少し変わった女子高生の話です。主人公を中心にした終末の世界を描いているということは、所謂セカイ系に分類されるのでしょうか。面白くなりそうな雰囲気はあったのですが、スカした空気と意外性の無さに多少物足りなさを覚えました。惜しい感じです。